My everyday life from Yeosu/여수/麗水, Korea.


2016/03/25

儒教とお祖父さん




私は韓国の儒教文化が個人的には好きではない。

とか言いつつ、実際のところ儒教の原理原則すらよく分かっていないのだけれども、父系血統システム、忠や孝、何より年齢による序列というものを現実社会でみると心がざわざわするし、アレルギー反応が出る。特に日本以上に目上の人を敬うという「慣習」が好きではない。人が人を尊敬するのに年齢なんて関係ない、いくら自分よりも年が上でも尊敬できない人はいるし、逆に年下でも尊敬できる人はたくさんいる。

なので、ドンちゃんの父方の親族たち(光州の教育界を牛耳る既得権益集団=光州のドン家)が絵に描いたような儒教一族というのをドンちゃんから聞いたときには、正直会うのが憂鬱だった。一族の長であるドン爺の機嫌を見ながら食事とかをするのかなーとか、そんなことを考えていた。

実際に会ってみると、私が考えていた儒教が良い意味で裏切られた。

その日はブログではここでちょろっと書いいた)ドン爺の90歳の誕生日and私のお披露目会で一族大集合。ドン爺はスーツを着込み、テーブルの真ん中に座り、私をフルネームで、日本のどこ出身なのか、卒業した大学と大学院の名前、どこの学部なのか、交換留学はいつどこの大学に行ってきたのか、父親と母親のこと、兄弟のことなどなど、を全て何も見ずに一族に高らかに説明して私を紹介してくれた。ドン爺には会うのはこの日が初めてで、もちろん私の学歴とかについて話したことはなかったので正直びっくり。後になってドンパパから予め聞いていたということを知ったけれど。

でもその時に、ドン爺から、私を一族に紹介しなくてはいけないという長としての自分の使命一族の責任を全て背負って私を受け入れるという姿勢をものすごく感じて、自然にドン爺への尊敬の念が生まれた。

その日にドン爺はとある本を一族に配っていた。その本とはドン爺が新聞や雑誌、論文から「家族と共有したい記事」を自身でスクラップし編集し製本したもの。タウンページみたいに分厚く、内容は目の疲れを取る方法や肩こりを解すストレッチ方法といった健康情報から漢字の成り立ち方といったちょっとした教養のものまで多岐にわたるものだった。私はこの本からドン爺の自分が良いと思った情報は必ず家族とも共有しなくてはいけないという、長としての気宇というものを感じることができた

この日の別れ際には私のほっぺを撫でながら、日本語で「Shiina ほがらかに生きない」と言ってくれたドン爺。この日から私はドン爺のことが大好きになったし、尊敬するようになった。そして、儒教ってこうゆうものなんだと実感した。つまり、そこ(儒教文化)では年齢が上の人が負わなければいけないものがとても大きく、それをしっかりと背負って初めて序列というものがあるんだなということ。

最近もドン爺と電話をする機会があった。旧正月に日本の実家に帰ったことを褒めてくれ、私の両親への気遣いをしてくれた。さらに、大学院がそろそろ卒業時期ということも把握していて(ゲッ)卒業したら光州ドン家一族ファンド(爆からお金が出るということを教えてくれた。私が勉強していることを一族の光栄と捉えていてくれるから嬉しい。

最後にドンちゃんに「先進国から韓国にやってきて本当に大変だと思うから、ちゃんとしっかりと支えてあげなさい」と声をかけてくれたみたい。それは垢がついたありがちな言葉なのかもしれないけど、私はこの言葉に重みを感じる。日本のことを先進国と言い、国という視点で「日本よりも韓国の方が暮らしにくい」と率直に言える人はそうそういない(その意見が正しいのか正しくないのは置いて)皆、日本は先進国だよね、でも「韓国もいいでしょう」という部分が必ずある。特にドン爺の世代は。もちろんそれが当たり前だしそれでいいと思うけど、それを越えていくドン爺はやはりすごいと思う。

一族の長としての責任を全うするドン爺。例えは悪いけど、もし私が韓国で犯罪者になったら、ドン爺はその責任をすべて自分に求め、省みようとするのだと思う。(私はこれまでもこれからも善良な市民よ。)本来の儒教って年を取ればとるほど、家族内で上になればなるほど、大変なものなんだな。

修士号と卒業証書をもらったら、ドン爺に会いに行かなくちゃ。いつになることやら。せめて、今年中に。。。


写真は全然関係ないけど、今日網で焼いたトースト。なかなか良い焼きあと。碁盤の目、長安みたい。




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2 件のコメント:

  1. なんだか心がほっこり^ ^
    Blog読むと、想像でしか知らない隣の国がどんどん身近になっていく〜

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    1. Nanaちゃん、コメントありがとう!そう言って貰えて本当に嬉しい😄ブログを書いてて本当に良かったなって思えるよ!これからも国境の垣根を越えられるようなものを書いていけるようにかんばる!

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