My everyday life from Yeosu/여수/麗水, Korea.


2016/09/19

お義母さんの想い




ドンちゃんの実家に行く楽しみは、ドンママの手料理をお腹いっぱい食べることだったりするんだけど、みんなが寝た後、台所でドンママと一緒にするおしゃべりも楽しみの一つ。

特に今回の秋夕帰省は、ドンママの深いところにある気持ちが聞け、私自身もそれに対して感化されたので、ここに書き残しておこうと思います。


それはおばあちゃんのこと。


現在、ドンママとドンパパはおばあちゃんと一緒に住んでいます。おばあちゃんはドンママの実のお母さん、数年前からアルツハイマー型痴呆症にかかっています。

私が初めてドンちゃんの実家を訪問したのは5年前、その時からおばあちゃんは痴呆症にかかっていて、ドンママがつきっきりで介護していました。今ももちろん、お家で介護しています。

私は一部しか見ていないし直接介護をしたわけじゃないので、ドンママの大変さを理解できる、とは言えないし、それをここに書き表すこともできないけれども、でも、ドンママがしている介護は私には絶対にできないことである、とは言えます。

寝る時を除いてオムツは絶対させずに、すべてドンママがタイミングを合わせてトイレに行かせたり、夜中に泣き叫ぶおばあちゃんの元に一番に駆けつけて抱きしめてあやしたり、常に清潔に美しいおばあちゃんでいてほしいからと、まめに入浴させて全身に保湿クリームを塗ってマッサージしたり。


ドンママは7人兄弟で唯一の女の子。おじさんたち(ドンママのお兄さんたち)やそのお嫁さんたちからは、介護施設に入れさせたらどうか、とずっと言われ続け、また経済的にもそれが可能なのに、それを頑なに拒否してきました。施設に預けることなく介護し続け早7年たちます。

責任感があって、家族思いのドンママの性格がそうさせているのかな、と私はずっと思っていたのですが、実は深い訳がありました。


ドンちゃんのおじいちゃん(ドンママの実のお父さん)が5年前に亡くなったのですが、おじいちゃんもアルツハイマー型痴呆症にかかり、色んな事情のため、介護施設に入ることになったのです。

おじいちゃんが介護施設に入るその日、ドンママは「お父さん」と言いながらおじいちゃんを抱きしめようとしました。そしたら、おじいちゃんは思いっきりドンママの手を払い、それを拒否。唯一の娘であったため、昔から可愛がられてきたドンママは大変ショックだったそう。

その時はただ単に手を払われたことが悲しくてたまらなかったらしいのですが、おじいちゃんが亡って、少し経ったある時、ふと、「あの時、実はおじいちゃんは痴呆症に侵されたおじいちゃんではなく、普段のいつものおじいちゃんに戻っていたのでは?」という考えが浮かんだのです。

痴呆症のおじいちゃんではなく、いつも通りのおじいちゃんに戻ったので、自分が施設に入れられることを正確に知り、「お前は私を捨てるんだな」との思いで、ドンママの手を払ったのではないかと。

その考えに至ってから、ドンママはどんなに痴呆症に侵されて、どんなに前の姿と違ったとしても、必ず「元に戻る瞬間がある」と信じ、それゆえ「おばあちゃんは痴呆症になっても、おばあちゃんであることに変わらない」と思うようになったそう。だからこそ、おばあちゃんを施設には入れられないし、絶対伝わるはずだって信じ全ての愛情を注いで介護をしているんだそう。




おばあちゃん。今はもうドンちゃんや私の呼びかけにほとんど反応しなくなってしまいました。

おばあちゃんのことが大好きなドンちゃんは、最後まで自分の名前を呼んでもらおうと必死だったけれど、叶わずショックを受けていました。もちろん言葉も通じず。

だけれども、おばあちゃんの手を握り、背中を抱え、優しく呼びかけるドンちゃんの姿を見ていると、ドンちゃんの思いもきっとおばあちゃんに通じているんだと思えます。ドンママの言う通り、おばあちゃんはおばあちゃんに変わりないから。

きっと意識の深いところに、元のおばあちゃんとドンちゃんや家族たちがしっかりと残っていてるんだと思う。

だから、ドンママの想いも全てわかっているんだと思う。


この話の最後に、ドンママが「誰に見せるわけでもないけれど、天使のように優しかった母のために一生懸命やりたい」と言っていて、私はそこにものすごく、ハッとされました。「誰に見せるわけでもないけれど」という言葉の奥に、自分の中にある価値を信じて、大切にして、実行すること重みを感じたのです・・・。


ドンママから大事なことをまた一つ得た夜でした。私はドンママの想いに寄り添ってそれを大事に守れる人でいたいな。




一番上の写真はおじいちゃんのお墓に飾ってあったお花。造花だけど、きれいだったから。


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